
<宇宙世紀に襲うもの>
インタビューの中で、ティターンズの台頭と暴走は、現在の亡国の独走に似ているという意見も出た。富野監督自身も、その事を予想したものであったという。昔のように「宣戦布告」して二国間なり異星人と戦争するなどというものが、視聴者にリアリティのあるものとして受け入れられなくなった。その様な状況で、抗争の火種を見つけるのなら、「強国の独走」か、それに対する「ゲリラ組織の反抗」か。庵野監督も「Cutie Honey」の時、「現代や近未来において、敵になる組織を設定するのは難しい。ゲリラぐらいしかない」という感じのコメントをしていた。なるほどと思いながらも、実際の「ZG」の時代になると、「そんなものではないだろう」とも思ってしまった。
個人的に近未来物のシナリオを書く際、ネットで「100年後の世界」で検索してみた。するとあるHPに行き当たり、そのサイトで掲載されている記事の中には、「50年後は飲料水の確保まで困難になる」という説があったのだ。現代も人口増加の速度は問題になっており、中国の生活レベルの向上と共に消費される資源量の増加も問題となっている。これが「増えすぎた人口を宇宙に移した」宇宙世紀では、更に人口と消費資源量の増加率は問題になっているはずである。それが「月」や「資源衛星」によって補われたとしても、一時的なものに過ぎないのではないだろうか。まして管理はしていても手元に資源が全くない「地球生活者」にしてみれば、「途中で資源を取って行くスペースノイドの量を減らして」「とにかく地球に多くの資源を運んで欲しい」はずである。
故に僕は、「新訳Z私訳」でも書いたが、ティターンズはエゥーゴを「挑発して」戦争を起こしたのだと解釈したのである。バスク=オム、ジャミトフ=ハイマンは、地球側の「汚れ仕事」を請け負い、エリートとしての特権を得たのだ。後、両名とも暗殺されてしまうが、仮に生き残ってとしても今回の戦争を起こした「戦犯」として裁かれ、処分されてしまうだろう。それで対面上は治まり、その後で糸を引く地球側の要人達は何も触れられることはないだろう。
今回のインタビューで富野監督はそこまで触れてはいないが、後の作品を観れば充分に自覚していることがわかる。「ガンダムF91」の「バグ=システム」、「Vガンダム」の「ギロチン」、「地上を走る戦艦」、「エンジェル=ハイロウ」、「クロスボーン=ガンダム」の「ディビニダド」、「逆シャア」での「アクシズ落し」など、その兵器・手段は狂気を帯びてくる。当時の僕は、「富野監督、シャアのこんなことさせてオーバーな(笑)」と思っていたものであるが、今になると理解できる。バスクやジャミトフは、野心を持って「汚れ仕事」を受け、シャア=アズナブルは、「地球圏の環境問題」として、「誰もやらないから自分がやろう」としたのであった。シャアは「アクシズ落し」によって、自らが裁かれて「地獄に落ちる」事も覚悟していたのだ。彼は歴史上の「大罪人」として記録されるが、地球を汚染し続ける「地球人を全て殺す」事によって、結果的に「コロニーや月の市民の生活」は救われるのである。客観的に見ると「非人道的」であるが、おそらく「ガンダム」の世界になる頃には「手段を選んでいられない」様になっているはずなのである。
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