『第2話 舞踏会の夜、愛は…』

 

《前回までのあらすじ》

「ボクは、王子様になる!」「天上ウテナ」は、密かな思い出と決意を胸に名門鳳学園中等部に入学した。男子の制服を着る変わった女の子だった。ある日彼女は生徒会が行っている『決闘ゲーム』に巻き込まれ、『薔薇の花嫁』と呼ばれる「姫宮アンシー」を守る為に決闘場で闘う事になってしまう。だがその類まれな能力で彼女は決闘を挑んでくる生徒会メンバー達、「桐生冬芽」「西園寺恭一」「有栖川樹璃」「薫幹」「桐生七美」の挑戦をことごとく退けてきた。『決闘の勝者』には、『世界を革命する力』が与えられるといわれているが、果たして・・・?

最近は、その挑戦者が意外に人物になってきていた。「鳳香苗」「薫梢」「高槻枝織」「石蕗美蔓」「篠原若葉」「苑田茎子」・・・。彼らの胸には、『黒薔薇』がつけられていた。更にその陰で、謎の者達が暗躍をしていた。決闘に関わった生徒達を監禁し、尋問を掛け、他の生徒達にも暴行を加えていた。彼らもまた『世界を革命する力』を求めてやってきたのだった。転校生として、謎の女生徒2人が侵入してきた。これを受け入れた鳳学園理事長代理である「鳳暁生」は、対抗手段としてある一手を講じた。

次の日、その女の子は鳳学園に現れた。鳳学園を舞台に、戦いの火蓋は切って落される!

 

《撞球遊技場》

卵の殻を破らねば、

雛鳥は生まれずに死んでゆく。

雛鳥は我々、卵は世界だ。

世界の殻を破らねば、

我らは生まれずに死んでゆく。

世界の殻を破壊せよ!

『世界を革命する為に!』

西園寺がスタートでキューを構えた。広い肩幅、ワイルドな緑のロングヘアー。

〈西園寺〉「お前も復帰か?」

ガガーン!

凄い勢いで各ボールが散ったが、ポケットに入った球はなかった。

冬芽は、台の上に大きく上体をかぶせて構えた。右手で顔に掛かる赤い髪を掻き上げ、

〈冬芽〉「そうだ。休んでもいられなくなった。」

そしてキューをヒットさせた。

コン!

冬芽の球は手前にある球の間を綺麗に一直線に擦り抜け、1番球に当たった。

ゴン!ゴロゴロゴロ…

1番球をコーナーに入れた白球は、今度は後退して2番球の後ろに移動した。冬芽は自らに酔いしれるように、赤く長い髪を掻き上げた。

〈冬芽〉「先日、世界の果て≠謔闔闔が届いた。君達の所にも届いたと思う。」

カーン!

冬芽は2番球を2クッションさせ、サイドポケット近くの9番球を狙うが失敗する。

〈幹〉「ええ。新たなデュエリストが現れる≠ニ…。」

コン!

はスピンをかけつつ、1クッションさせて2番球を狙った。しなやかに白球は、2番球を捕らえた。

ゴン!ゴロゴロゴロ…

〈西園寺〉「今日来たという、転校生がそうなのか?」

〈冬芽〉「どうなんだ?」

樹璃は3番を狙った。縦ロールの髪から見える、上目遣いにラインをにらむ眼が鋭い。

〈樹璃〉「ああ。私のクラスに転入してきた。如月ハニー…今のところ何とも言えない。」

カーン!

樹璃の鋭い球は3番に命中した。

ガン!ゴロゴロゴロ…

〈樹璃〉

「…ただ不思議だったのは、登校時は彼女の髪は黒だったのに、クラスに来た時は金髪だった事だ。」

〈冬芽〉「作者の好みだろう。」

〈西園寺〉「何の事だ?」

西園寺は視線を上げた。

カーン!

西園寺の球は、3番球に当たらなかった。

〈冬芽〉「いや、別に。」

冬芽はフッと笑って、キューを構えた。

コッ!

近くにあった3番球は、コーナーに落ちた。

ゴトン!ゴロゴロゴロ…

白球はまた後退して、4番球のラインへ移動した。冬芽は4番球で9番球を狙うが、失敗した。

〈幹〉「このところ、よく転校生が現れますね。これで3人目ですよ。」

幹は、ゆっくりと4番球をサイドポケットに沈めた。

カコン!ゴロゴロゴロ…

樹璃は5番球をクッションさせて、7番球を狙った。

〈樹璃〉「…何か、事件でも起こるのかな?」

カーン!

ゴン、ゴン、ゴン!

5番球は7番球に命中した。

ガコン!ゴロゴロゴロ…

〈冬芽〉「さあな。とりあえずその3人を、今夜の生徒会主催の舞踏会に招待しておいた。」

〈西園寺〉「舞踏会だと」

西園寺は、また視線を上げた。

カーン!

西園寺の白球は、5番球に当たらなかった。冬芽はフッと笑って、キューを背中に構えた。

コン!

5番球が、コーナーへ落ちた。

ゴトン!ゴロゴロゴロ…

冬芽は6番球で9番球を狙うが、失敗する。

〈幹〉「あの二人も呼ぶのですか…危険なのではないですか?」

コン!

幹のクッションが外れて、6番球に当たらなかった。

〈冬芽〉「危険だからこそ…何か起こるのではないかと思ってね。」

冬芽は、不敵に笑った。樹璃は、6番球を力いっぱい狙った。

〈樹璃〉「フン。それは面白そうだな…。」

ガガーン!

弾かれた6番球は凄まじいクッションをして、

ガ、ガ、ガ、ガ、ガ、ガ、ガ!

8番球に当たった。

ガコオン!ゴロゴロゴロ…

6番球で、9番球を狙うチャンスである。西園寺は、舌舐めずりをしながらキューを構えた。

〈西園寺〉「あの二人が何かすれば、この俺がこらしめてやるさ。」

ガーン!

白球は、台を飛び出してしまった。

 

《月夜の○○―》

年間何かの祝い事や行事があれば、生徒会が主催してパーティーが開催される。この舞踏会の会場はどこなのかは不明である。鳳学園関係者が知るのみである。

日も沈んで、舞踏会場に燈が灯る。インディゴブルーの夜空に、星がビーズのようにチカチカと瞬いている。クラシックの生伴奏も流れ、この日はとばかりに着飾った生徒達は、ホールの中へと吸い込まれていく。今夜の一時への期待を抱かせるムードに満ちていた。

七実は三人組を従えてホール前の中庭へと出てきた。七実は、イメージカラーのイエロー、背中に黒ベロアの大きなリボンの付いたAラインのドレスを着ていた。四人とも何やら神妙な顔つきである。

中庭を見回してみると、花壇の渕に独り、腰掛けている女がいた。女性用の細長いパイプを口にくわえ、吸い込んだ煙を月に向かってくゆらせている。

〈七実〉「ちょいと、そこのあなた!部外者は立ち入り禁止よ!」

七実は、いつもの調子で相手を威嚇した。女は紫の髪をアップにして、髪に合わせた紫のツーピースを着ていた。首周りと肩まである大きな襟、袖口とスカートの裾に白いフォックスの毛皮が付いている。七実の事は気にしていない様子であった。何事もないように、また煙を月へくゆらせた。

〈七実〉「ちょっと、ここはナイトクラブじゃないのよ!出て行かないんなら、生徒会役員でもあるこの私が許しませんわよ!」

女は、気にせずまた煙草を吸った。

〈茎子〉「七実様、何者でしょう?」

髪伸ばして前髪クルルンの茎子が言った。

〈紫髪の女〉「…そういえばあなた。いつぞやパーティーでペンダントのお披露目をカウベルでしてしまった事があったそうね。」

女は、月を見上げながら口を開いた。

〈紫髪の女〉「宝石は小さな石より、大きな石の方が価値があるという事、御存知(かしら)?」

〈七実〉「…何が言いたいの?」

〈紫髪の女〉「あの時生徒会の御二人が言っていたのは、確か洋服のブランド。宝飾のブランドだったらもっと高価なものがあるという事、(カシラカシラ)御存知かしら?」

女は、艶のある瞳で七実の方を見た。

〈七実〉「な、何よ。あなたこの学校の生徒なの?…でもまさか、その格好で舞踏会に出るんじゃないでしょうね?そんなナイトクラブのママみたいな…お笑い種だわ!オーッホッホッホ…!」

連れの三人も揃って笑い出した。女は静かに立ち上がった。

〈紫髪の女〉「そうね。TPOを間違えたかしら…でもあのときのあなたの様な、バランスの悪い着こなしはしないように気をつけるわ。」

〈七実〉「な、なんですってぇ!」

〈紫髪の女〉「ホホホホホ…」

女はその場を去った。

〈七実〉「…なんなの、あの女?」

 

《舞踏会の夜に、愛は咲かず》

既にホール内では、華々しく舞踏会が始まっていた。舞踏曲のしらべに乗って、タキシードを着た男子にエスコートされながら、女の子達のドレスのスカートが、規則正しくパラソルの様にクルクルとホールを回っていた。

〈樹璃〉「やあ。舞踏会は、嫌いなのではなかったかな?」

樹璃はアンシーと来たウテナに声をかけた。今回はドレスは着ていない。決闘用の男装だった。

〈ウテナ〉「ええ。でも転校生の紹介があるんでしょ?今朝先輩が怒鳴っていた人。ちょっと興味があって。」

ウテナは、アンシーと見詰め合って笑った。

〈樹璃〉「…ああ、あの子か。彼女は私と同じクラスだ。」

〈ウテナ〉「へえー、そうなんですか。でも初日からバイクで来るなんてイカしてますよねー。どんな人なんだろう。」

幹が、目ざとくアンシーを見つけて駆けてきた。

〈幹〉「ああ!姫宮さん、天上先輩!良くいらっしゃいました。」

〈アンシー〉「どもども。」

〈冬芽〉「おやおや。今日はその格好か、残念。」

冬芽も目ざとくウテナを見つけた。ウテナは、ムッとして一歩冬芽から下がる。

〈冬芽〉「おいおい、そんなに邪険にするなよ。一緒に踊るなら、ドレスを着ている君の方がいいと思ったのさ…。」

〈ウテナ〉「だっ、誰がお前となんかっ!」

ウテナの顔が赤くなった。冬芽は、それを見て面白がっていた。

〈幹〉「そろそろゲストの紹介をしようと思うのですが…三人とも見当たりませんね。」

幹は会場を見渡した。

〈冬芽〉「…これは、期待外れだったかな?」

冬芽が、ホールに入ってきた七実達を見つけた。

〈冬芽〉「どうしたんだ七実、今頃に。」

〈七実〉「…あの転校生の二人が来たら、追い返してやろうと思っていたのに。」

〈冬芽〉「おいおい七実、彼女達は俺達の上級生なんだぞ。しかも今回のゲストなんだ。丁重におもてなししなければダメじゃないか。」

〈七実〉「でもあの二人、なんか陰険だわ。一人の女は化け物だし。あんなのが来たらパーティーの雰囲気が台無しだわ。」

七実は、ホール内を見回した。

〈七実〉「…そういえば、ナイトクラブのママみたいな格好した子来なかった?」

〈幹〉「ナ、ナイトクラブ?」

〈七実〉「そう!煙草なんか吸ってて、オバさん丸出しだったわ!」

にわかに会場の入り口からざわめきが起こり始めた。ウテナ達がその方に目をやると、一人の女の子がホールへ降りる階段を静々と降りて来ていた。

ピンクの巻き毛長い髪、白いシースルーのケープを肩に掛けたドレスを着ていた。そのままウエディングにも使えそうである。真珠の髪飾りとネックレスが、更にその衣装を華やかにしていた。。ネックレスの中央には、赤い球が光っていた。その清楚な美しさに、会場から拍手が送られていた。

〈樹璃〉「…また髪の色が変わっている。」

〈冬芽〉「ほう。じゃあ、あれが今日の転校生か。」

〈ウテナ〉「…へっ?」

ウテナが見た時には、長い黒髪(大奥カット)だった。

〈ハニー〉「こんばんは。」

ハニーは樹璃に微笑んだ。

〈樹璃〉「…君は、何故いちいち髪の色を変えるんだ?」

樹璃は、こわばった顔をしていた。

〈ハニー〉「あら。このスタイルだったら、樹璃さんと踊れるかなぁって思って…。」

ウテナが見た時とは、随分雰囲気が違っていた。

〈冬芽〉「やあ、始めまして。鳳学園生徒会会長の桐生冬芽といいます。本日は、私達主催の舞踏会に御参加いただき、光栄の至りですよ。」

冬芽は、ハニーの白いレースの手袋の手を取ってその甲にキスをした。何故かいつもの冬芽より、クールな表情だった。

〈ハニー〉「ありがとうございます。この学校に来たばかりなのに、こんなに素敵なパーティーに招待いただけるなんてとても幸せですわ。」

ハニーは、七実の方を見て微笑んだ。七実は、何故彼女が自分に微笑んだのかが判らなかった。

〈ウテナ〉「へぇー、素敵なパールですね!この真ん中のは何ですか、これもパール?」

ウテナは、ハニーの胸元に光る赤い珠に目が吸い寄せられていた。

〈ハニー〉「ええ、これは真珠よ。人魚の涙≠ニいうの。」

ハニーは、アンシーに微笑んだ。アンシーも微笑みを返した。

〈ウテナ〉「へぇー、赤いパールってあるんですね。珍しいなぁ。…でも綺麗ですねぇ。」

大きな赤い真珠の周りには、白い小粒の白い真珠が並んでいた。何故かホールの照明だけではなく、自らが光を放っているようにウテナの眼には見えた。不思議な輝きだった。

「キャアァーッ!」

会場が悲鳴と共にざわめいた。ウテナ達が振りかえると、二人の人物がそこに立っていた。周りの生徒達が彼らを避けているようで、その二人の場所だけ空間が出来ていた。

〈ウテナ〉「何かあったのか?」

〈冬芽〉「…いや、そうではないだろう。」

冬芽はやや緊張した面持ちで答えた。あの二人は入り口から入ってきたのではない様である。冬芽さえその気配に気付く事が出来なかった。

〈七実〉「でっ、出たわね。この化け物…。」

〈青髪の女〉「こんばんは、生徒会の皆さん。御招待いただいてありがとう。」

二人の内の一人が口を開いた。コバルトブルーのロングヘアー、真っ白な顔に同じく真っ青なアイシャドウがキツく入っていた。クールであるが、かなりの美女である。しかし他人を全く寄せ付けないようなクールさであった。もう一人は、背丈が2メートル以上あり、まるでゴリラのような体格であった。一応女であるらしい。こちらは口を開く事はなく、ゆっくりと辺りに眼を配っている。

青い髪の女は、紫のシルクサテンに黒ビーズやスパンコールを散りばめたドレスを着ていた。肩から胸元は大胆に肌を見せ、黒水晶とメタルの豪華なネックレスが飾られていた。袖肩のパフは、カットガラスのように複雑なプリーツが入り、刺のように尖った飾りが付いている。黒いシャンデリアのようなイメージだった。

背後の大女は、耳から胸までかかる頭巾のようなものを頭に被っている。同じく紫サテンのフード付きのマントを羽織っていた。肩までの大きな襟も付き、それらの縁は、黒のレースとビーズで飾られていた。その中身は判らない。二人とも紫で揃えてきた様であった。

彼女達と生徒会メンバー達との間のただならぬ雰囲気に、会場は静まり返ってしまった。

〈冬芽〉「…これは。御二人共来ていただけないのではないかと、心配しましたよ。」

生徒達が固唾を飲んで見守る中、冬芽は冷静だった。

〈青髪の女〉「私達も転校二日目とはいえ鳳学園の生徒です、生徒会の規則も守りますよ。あなた方とは、これからも仲良くしていきたいと思っていますから。」

二人はゆっくりと冬芽達の方へ歩き出した。彼女達を避けるように、人垣が別れて道が出来ていった。

〈西園寺〉「待てえっ!!」

西園寺が、彼女達の後方から声を上げた。そこも、人垣が別れて空間が出来ていた。二人は立ち止まると、表情も変えずに後ろを見た。西園寺は、手に真剣を持っていた。

〈西園寺〉「誰が貴様達等とっ!災いをもたらす前に、この学園を去れっ!!」

西園寺は、勢いよく彼女達に飛び掛かった!

〈冬芽〉「やめろ!西園寺!」

〈西園寺〉「ウオォォォ〜ッ!!」

コバルトブルーの女は、静かに顎を少し振った。後の大女は、頷くと軽く片腕を振り上げた。振り上げた手は、本当にゴリラのように大きく、拳の頭に金具の付いた黒手袋をしていた。軽く振っているようだが、その周りには凄まじい空気の流れが起こっていた。西園寺はその風に巻き込まれるように、ホールの天上辺りまで浮き上がってしまった!

〈西園寺〉「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

ガッシャァァァァン!!

ガラスの砕ける音が会場に響き渡った。西園寺は窓ガラスを破って、会場の外まで吹き飛ばされてしまったのだった。会場は騒然となった。

〈樹璃〉「…無様な。」

〈ウテナ〉「うひゃーあ、凄い!」

二人は生徒会メンバー達の前に立った。再び会場は、水を打ったように静まり返って事の成り行きを見守った。コバルトブルーの女は、黒々とした眼でウテナを見た。

〈青髪の女〉「あなたが、天上ウテナさんね。」

ウテナは、女を睨み返した。だが相手はウテナを静かに見詰めるだけであった。そしてその眼は、アンシーに向けられた。

〈青髪の女〉「…そしてあなたが、姫宮アンシーさんね。」

コバルトブルーの女は、口に笑みを浮かべてアンシーに近づいた。ウテナの眼の前で、手を上げて彼女に触れようとしている。アンシーの顔は、脅えて震えている。ウテナは、とっさにその手を叩こうとした!

〈青髪の女〉「うっ!お、お前は?!」

ウテナが手を叩こうとする前に、女は手を止めて後図去ってしまった。女の表情に、明らかに動揺が見える。

アンシーのやや後ろには、ハニーが立っていた。

〈ハニー〉「あら、私が何か?」

ハニーは、女が何に動揺したのか判らない様だった。

〈青髪の女〉「…まあいい。今夜は引き上げる事にしよう。」

ハニーを見つめていた女は、踵を返して歩き出した。大女もこれに続いた。再び人垣が、彼女達の前に道を作っていく。中庭に出る窓際の扉の前に立つと、女はチラッとウテナの方を一瞬振り返った。ウテナも女から視線を外していなかった。女は扉を開けて、外に姿を消した。

〈ウテナ〉「…いったい、何だったんだ?」

ウテナは、体中が汗ばんでいた。ハニーの方を見た。

〈ウテナ〉この人、いったいなんなんだろう?なんかさっきの奴等、この人見て動揺してたみたいだった…。

他の生徒会メンバー達も、同じ疑問を持っていた。あの二人が引き上げたのは、ハニーを見てからだった。ハニー自信は注目されているのが面白いのか、キョロキョロとそれぞれの顔を見ていた。

〈アンシー〉「…そう言えば、西園寺先輩、大丈夫かしら。」

〈ウテナ〉「あっ、そうだ!すっかり忘れてたよ。」

他のメンバーもハッと気が付いた。お互いに目配せをして、中庭に様子を見に行く事にした。

〈アンシー〉「…でも西園寺先輩ですから、大丈夫ですね。」

アンシーは、微笑んだ。

次回

第3話 『道場破り』

 

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