
ハマーンの悲しさ
「ハマーン=カーン、お願いです!この世界のために、貴女の力を貸して下さい!」
もう5年ぐらい前になるのだろうか、友人の提案を元に、「Vプロジェクト」なるものを考えたのであった。それは「ガンダム・シリーズ」のエピソード内で実際にあったMS(モビル・スーツ)、MA(モビル・アーマー)、戦闘機や車両を含むものとパイロットの組み合わせで「最も強いのはどれか」をネット投票で決定する、というものである。「ファースト・ガンダム」から順番に各シリーズでMS&パイロットをエントリーし、1対1の対戦をトーナメント形式で組み合わせを決める。各対戦に対して参加者は、「どうやってどちらのMS&パイロットが勝ったか」を掲示板に書き込んでもらい、面白いものは採用されて戦闘記録にされる。各シリーズからの優勝者を代表者として、最後に「総合トーナメント」で全シリーズ最強のMS&パイロットを決定するという訳である。
今でも全シリーズ通して最大の破壊力を持っているのは、「ターンA」と「ターンX」。「月光蝶モード」になると、彼らは「地上全てを灰にする」ことができる。次はおそらく「X」と「XX」の「サテライト・キャノン」と「ビット・モビルスーツ」。「ティファとガロード」が乗ると最強かもしれないが、「2名以上の搭乗」は認められない。僕が個人的に押していたのは、「F91」、「V2」、「クロスボーン・ガンダム」。相手が大技を出す前に、「高速モード」で仕留める!僕にとっては、ここまでが「ガンダムらしいガンダム」なので(他がキライ、という訳ではない)。各対戦の内容を「週刊プロレス」みたいに編集して小冊子にして発行する所まで考えていた。現在は「SEEDシリーズ」があるので、かなりこれらが上位に食い込んで来ることになるだろう。ただあまりにも「ガンダム・シリーズ」全体を把握するには、「ガンダム・エース」の存在もあって膨大で困難なものになってしまった。できる情熱のある方がやって欲しい(笑)
それで、MSはともかくとしてパイロットとして「最強の一人」として押そうとしていたのが、「ハマーン=カーン」である。「ニュータイプ」であり、パイロットとしての技術は当然のこと、何よりも「ハートが強い」ことが最大の理由だった。後に北爪氏の「C.D.A.若き赤い彗星の肖像」とか出てきて、若い時の彼女(ZZのときでも20代前半なのだが笑)はかなりか弱かったことになってしまった。おそらく途中「強化された」ことになるのだろうが、当時はそんな話はなかったのである。
「シャア=アズナブル」が「クワトロ=バジーナ」として地球圏へ抜けた後の「ネオ=ジオン」を引き継ぎ、それらを率いて現れたハマーン。彼女はそれを、「シャアのために」やったはずなのである。しかしなんと、シャアは彼女と「ネオ=ジオン」を受け入れることを拒んでしまう。当てが外れてしまった彼女は、「自分を必要としている相手」を探して地球圏の各勢力と駆け引きをしなければならない羽目に合う。勝気な性格(「強化」のせいなのか?)な彼女は、その生い立ちなどのコンプレックスもあったかも知れず、自分から相手に擦り寄っていくことができなかった。深読みすると、「シャアに否定された」今までの自分の行いを、「認めてくれる存在」を求めていたのだ。おそらくそれは、孤独で、苦しいものだったに違いない。
「スーパーロボット大戦」という、ある意味「掟破り」なゲームの出現によって、今まで違う世界の存在として交わることのなかったロボット系アニメーションのヒーローたちが、同じ世界で共演するという奇跡が実現した。それは違う作品のヒーローたちだけではなく、その作品自体の中でも奇跡を見せてくれる。「ガンダム・シリーズ」で行くと、「フォウ=ムラサメ」や「ロザミア=バダム」の「ロンド=ベル隊」への参戦、そして「ハマーン=カーンの参戦」である。また同作品でもゲームの中でしか描かれないオリジナル・エピソードなどもある。「第3次スーパーロボット大戦F完結編」では、地球連邦に反旗を翻した「シャア=アズナブル」が地球に落とした「アクシズ」を、「伝説巨神イデオン」では敵方であったバッフクラン軍の「ハルル=アジバ」が、なんと戦艦「ドロア=ザン」で押し返そうとするのである!これは個人的にはかなり気に入っているエピソードで、時空のゆがみで別世界に孤立してしまった彼女が、敵であった異性人の母星を守ろうとしたのである。「漢気」あふれる彼女なら(笑)、本当にこのぐらいはやりそうなので、大感激してしまった。
「ハマーン=カーン」はこれらの「アクシズがらみ」では、選択肢によっては味方になり、時には「シャア側」につく。たかが「仮想ゲーム」の世界であっても、彼女が、
<ハマーン>「よかろう。お前たちに力を貸そう。」
とフキダシでセリフを言ってくれただけでも大感激だった。とはいえ、こっちに来ると「キュベレイ」HPは10分の1になるけど(笑)。アムロ=レイ、カミーユ=ビダン・クラスの「ニュータイプ・パイロットにはなってくれる。「νガンダム」に乗せて「フィン=ファンネル!」とか言わせたり、「F91」や「Z」「ZZ」に乗せると、それぞれにセリフを言ってくれて面白い。しかし個人的には、これがストーリーものだったとしたら、彼女が「味方につく」ということはもっとすごいことになる様な気がする。そのことに関して、今の所自分で話しを書いてみる気はないが。
何故そういう期待をしてしまうのかというと、「独りであれだけ強い人」が、同志を持ったら「どんなに強くなるだろう」と思ってしまうからである。実際に彼女は、その力を「シャアの為に」使うつもりだったはずなのである。「辛い・悲しい・寂しい」と言えない性格。「力を示す」為に、「スキを見せることができない」。その彼女の苦しみの奥深くまで入って、手を差し伸べてくれる者は誰一人として現れなかったのである。しかしその苦しみも、誰もが受け止めることができるものではない。それが可能だったのは、「シャア=アズナブル」、「カミーユ=ビダン」、「ジュドー=アーシタ」だったのだろう。しかし彼らも、彼女の苦しみを拭ってやるという所まで考えるゆとりがなかった、ということだろうか。結局ジュドーとの「一騎撃ち」で「敗れる」という形で「自滅する」という道を、彼女は選ぶことになる。
力も才能も情熱もあっても、報われない。時代の中でもそういう人たちが多くいることだろう。ただ僕の思い入れのせいかもしれないが、彼女は別に支配者になりたかった訳でもなく、極悪人でもなかったのではないかと思ってしまうのだ。
「ハマーン=カーン、お願いです!この世界のために、貴女の力を貸して下さい!」
この一言を言う人間がもし現れていたら、彼女は本当にその力を世界の為に使ってくれたのではないかと、僕に夢を描かせるのである。
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